（第３話までのあらすじ）
初のフルマラソン＝東京マラソンまでの１ヶ月間、猛練習中に膝を痛めたり血尿が出たり等の故障が続発したが、なんとか間に合わせて、遂に２月１８日本番を迎える。しかしスタート直前になって、荷物が紛失するというアクシデントが発生！　タイムリミットはあと１５分、果たしてレースに出ることが出来るのか？！

「まもなく荷物のお預かりを終了します。ランナーの方々は８時４５分までにスタート位置にお並びください。時間を過ぎた方は、最後尾からのスタートになります」・・・会場にアナウンスが流れ、続々と選手達がスタート地点へと向かい、周りには殆ど誰も残っていない。

こうなったら、、、えーい！強行出場だ！！。そこらへんにウィンドブレーカーを脱ぎ捨て、ダッシュで向かう途中に、ポツンと一つ取り残されたビニールバッグが目に入った。「もしや？！」ーあわてて駆け寄ると、それには紛れも無く自分のゼッケンナンバーが。。。

『姉ちゃん、舞い上がりすぎてるんじゃないのー！』昨夜の妹の言葉が、頭の中にこだまする。さっきアップのランニングをしてる時に、いつの間にか遠くへ走っていって、元の荷物を置いてあった場所から離れてしまっていたらしい。

あーっ、やっちまった。。。今までの出来事はすべて、自分の勘違い＆ひとり芝居。。。　なにが「都会のマラソン大会はコワい」だー！。ランナーの中に荷物を盗む様な、悪いヤツがいるわけないだろがっっ！！
ボランティアスタッフにまで迷惑をかけてしまったー　もう自分のアホさ加減に凹むと同時に、顔から火が出て、黒焦げになるくらい恥ずかしい＞＜

しかし、とりあえず反省は後回し！。気を取り直して、全力疾走で荷物をトラックまで運んで預け、スタートエリアに駆けつける。時計を見たら８時４７分、間に合ったぁー！！！。でもこの時点でもう、シューズは雨と水たまりにはまって、ずぶ濡れ。。。

おまけに、どこかにタオルハンカチを落としてしまった。ハンカチ王子ではないが、私は鼻炎持ちな為、走ってる途中に鼻をかむ為の、タオルハンカチは必需品。今回はフルマラソンというので、特別にブ厚いハンカチを用意していたのに。。。しかも、今までの騒動で、すでにかなりのグリコーゲンを消費してしまったような。。。

雨はますます激しく降り、寒さで吐く息は白い～　隣りのランナーは半袖なもんで、ガタガタ震えてくちびるが紫色になっている。こうなったらもう一刻でも早く、スタートの号砲を鳴らして欲しい。


その１：スタート～１０キロ地点
午前９時１０分、前の方でどよめきが起こり、ようやくスタートしたらしい。スタート位置はA～Kの１１のブロックに分けられ、自分は後ろから３番目のIブロックからの出発。混雑していてなかなか前に進めず、歩いては止まるの繰り返し。念願のスタートラインにたどり着いたのは、１０分以上経過した後だった。手を振る石原知事に向かって、ランナーから「知事、ありがとう！」「慎太郎も走れー！」などの歓声があがるｗ。

少し走っているうちに、冷静さを取り戻して来たので、今日のレースプランを思い出してみた。目標は膝を痛めず＆関門にかからず＆歩かず走ってゴールすること。よって１キロ７分～８分のゆっくりジョギングペースでも、２９５分～３３８分で、制限時間の４００分内でゴール出来る計算。なるべくキロ７分ペースをキープし、キツくなったら８分ペースに落としても良しとしよう。

５キロ通過地点で時計を見たら、スタートラインを超えてから３５分経過していた。おっ！ぴったりキロ７分ペースで来てるじゃん！上々の滑り出しに、ちょっと気を良くする。

レースでキツイと思うのが、この最初の５キロあたりまで～　いつも「あー、やっぱり出なきゃよかった・・・」と後悔してしまう。走り出して２０分以上も経てば、ランナーズハイ？なのか、調子が出てくるのだが。間もなく日比谷公園にさしかかり、１０キロの部のランナー達が次々とゴールしてゆくが、ここでつられてペースをあげてはいけない。この42.195kmのロングジャーニーは、まだ始まったばかりなのだから。

（スタート～10kmの所要時間/68:07）

その２：１０キロ～２０キロ地点
思えばこのマラソンに出るにあたって、色んな人から協力や励ましをいただいた。ただ走るだけでは芸も無いし、ここからの距離を、それらの人達に私から勝手にトリビュートさせてもらうことにしようｗ。

右手には、霧雨にかすんだ東京タワーがぼんやりと見えてくる。雨の東京シティは、フィルターがかかったように普段と違う風景を見せている。この街を走っている現実感が無いというか、なんだか自分が夢の中にいるような錯覚に陥り、ほおをたたいてみると。。。やっぱり痛い。。。

今日は東京ロード貸し切り状態～　遅すぎて申し訳ないが、ジョギング兼ねて観光だ！。気分はすっかりおのぼりさん。ウチの妹はヅカファンなので、いつも宝塚を観に行く為に、帝国ホテルに泊まることが多い。今日も、帝国ホテルの近くで応援するとか言ってたな。。。しかし、自分は帝国ホテルに行ったことも無いし、場所もさっぱり分からない。。。結局、妹に会うことなく品川を折り返して、通り過ぎる。

間もなく２０キロ地点になるが、ペースが遅いせいか、ここまではハーフマラソンよりもずっと楽な感じ。これで膝がブッ壊れなければ、ゴールにたどり着き、歩けてビールを飲みに行けそうな気がするw。
第４関門の２０．４km地点を無事に通過！。まるでスーパーマリオでステージクリア出来た気分！。がんばれ、クリボーに負けるなっ！

ともあれ２０kmまで、無事に終わった。ここまでの走りを、今回の東京マラソンを実施するにあたって、関わった全ての人々＝東京都民、ボランティアの人々等に感謝して捧げることにしよう。皆さんの協力のお陰で、こうして走ることが出来ましたー　ありがとうございます！

(10km～20kmの所要時間/69:06）


２０kmを過ぎると、銀座の大通りに突入。同時に腹が減って来た。時計を見ると、１１時半。今朝は６時に朝食だったし、そりゃあ腹も空くはずだー。でも次の２２km地点では、給水＆給食があるらしい。
マラソンの給食は、そこの土地の名物が置かれてあることも多く、宮崎の青島太平洋マラソンの時は、日向夏ゼリーと飫肥天だった。東京マラソンでは何だろう？。噂では、人形焼きがあるとも聞いたし、楽しみー♪。期待に胸を膨らませて、給水ポイントにたどり着くと。。。

え？　無い、ないっ、、、水しかない！！
人形焼きやバナナはどこへ行ったー？！

スタッフの人が「すみませーん、給食は全て無くなりましたー！」と、ガナっている。先を行ったランナー達が、全部食べ尽くしたらしい。残ってるのは水だけ。。。。
このままでは、低血糖で動けなくなる可能性が高い～　どうしよう？　ゴールまであと残り２０キロ。。。
　
To be continued・・・