Take It To The Limit (2008年4月:第10回lafuma青梅高水山トレイルラン35km)

アメリカを代表するバンド、Eaglesの曲に『Take It to the limit』というバラードがある。直訳したなら『限界までやってみよう』とでも言うのだろうか♪

↑ここでは、シェールのカバーバージョンで。1946年生まれのシェールは、シンガーそして女優としても活躍し、今年芸歴39年目を数えるらしい。ということは、62才! ハリウッドの恐るべきアンチエイジング技術には、驚嘆する!あせあせ(飛び散る汗)

先日「第10回lafuma青梅高水山トレイルラン」というレースの35kmの部に出走してきた。青梅は都心からのアクセスも良く(新宿から電車で1時間位)、トレイルの中では参加しやすいのである。電車

http://www.kfctriathlon.jp/html/home.html


昨年は15kmの部を走ったが、タイムも1時間50分位だったので、楽観視し過ぎていた。そう、昨年のテーマ曲はルー・リードの「Walk on the Wild Side」=荒野を歩け、だったのだ。15kmの部は、確かに野山を駆け抜ける、疾走感があった。グッド(上向き矢印)
昨年の様子を知りたい人は、こちらをクリック↓

第9回モントレイル高水山トレイルラン15km

しかしロードでのフルが、単にハーフの2倍ではないように、トレイルの35kmは15kmの倍ではないと言うことに、気づくべきだったのだ^^; 今回、私の頭の中では、ずっと冒頭の『Take It to the limit』が鳴り続けていた。そう、もう一歩踏み出して♪限界までやってみようよ~♪と。。。

とまあ、なんとかそんな感じで乗り切ったこのレースを、振り返ってみたいと思う。
まずはコース図。700mの山頂にある、高水山常福寺を折り返し地点として、合計35kmの山越えである。制限時間は6時間、13kmの関門が2時間10分。27kmの関門が4時間40分。

参加者3万人規模の東京マラソンは、東京ドームでのメジャーなコンサートのようだった。今回の会場は新宿から電車で1時間ちょいほどの青梅市の公園。

トレイルはマラソンよりもずっとマイナーなのだが、昨今のブームも手伝ってか、参加者も大幅に増え、こんな山のふもとに1800人ものランナーが集結していた~まさにシークレット野外レイヴの雰囲気! 電球レイヴにふさわしく?モヒカンのランナーを発見! DJのヨージ・ビオメハニカかと思った!!

トレイルランは普通のロードレースよりも、平均年齢が若いせいか、派手なスタイルの人が多いようだ。衝撃こちらは本物の、DJ Yoji Biomehanika。実は彼はDJをやる前は、LAUGHIN' NOSEの3代目ベーシストだったのだ。

午前10時スタート、山道は細いので、けっこう混み合って渋滞が続く。
しかし驚いたことに、こんな山の中にも、オールスポーツコミュニティのカメラマンが来てて、撮影をしていた! 

スタートから7kmほど進むと、最初の給水所「栗平地区」に着く。ここは、青梅の隠れ里と言われ、織田信長による「武田征伐」により、名門甲斐武田氏は滅亡したが、その武田氏の末裔が住んでいる場所らしい。山の斜面に積まれた石垣の上には三百年前に建てられたという重厚な家屋があり、屋根の鬼瓦には武田家の裏紋である花菱が用いられている。


民家が3軒と自然農の理論を実践している「宮沢賢治の学校」があった。秘境的な雰囲気が興味を引く。菜の花が咲き誇り、庭先でとれたという差し入れのみかんにかぶりついた。

13km地点を、1時間50分で通過。ヒェーまだ半分も来ていない! 去年はもうゴールしていた時間だったのに。がまん顔
しかも、ここまで山道を登り下りしている内に、かなり足にきてしまっている。。。大丈夫だろうか。。。

その後。キロ表示が無いのでどの辺りかは不明だが、山の斜面でトップの選手が折り返しているのとすれ違う。上りだというのに、ガンガン走ってて凄すぎる! 女性を一人見かけたが、この人がおそらく、100kmマラソン世界王者の 櫻井教美選手だったのだろう。心拍数を相当上げて進んでいたようで、やはり強力な心肺機能の持ち主だというのが伺われた。

折り返しのお寺=高水山常福院までは、ひたすら上りが続く。キツいが、周りの人達と同様に、歩き続けた。

着いたら、一礼して鐘を鳴らして御参りし、御守りを首にかけてもらう。この御守りを見せてゴールするのが、このレースの規則である。ここは、真言宗豊山派のお寺だったらしい。この山の中には他にも、密教系のお寺が点在していて、むかし昔、この同じ道を修験僧達が走り回ってたのでは?と想像すると、ちょっとわくわくした!

あとはとにかく、上りは歩き、下りはタイム短縮して関門を抜ける為にも、小走りを続けた。登りで心拍数が上がり、乳酸が溜まったところへ、下りでは踏ん張らないとバランスを無くして転びそうだ。木の根っこに足を取られて、ネンザしそうになったりした。途中、ヘリコプターや救急車のサイレンの音がしたが、負傷者も6人ほど出たらしい。。。 

 「栗平地区」の給水所まで辿り着く。27kmの関門を4時間弱で通過。あとゴールまで7.5km。この分だったら、午後3時位に、到着しそうだ。。。 ゴール後は、皆でお花見&打ち上げをする約束なのだが、15kmの部の人達は先にゴールしてて、待ち長いだろうな~ 誰かの携帯番号でも聞いてれば良かった! もしもの遭難に備えて、大会本部の電話番号はしっかり教えてもらっていたのだが。

ここからしばらくは、舗装路の登りが続く。日も傾きかけて、周りも皆走らずに(走れずに?)歩いてるし、トレイルランというよりもハイキングのようだ。。。しかし、なぜかリタイアしたいとの気は起こらなかった。

もしかしたら、これだけ歩き続けてもペースが落ちないのは、ダイエット時代のウォーキングが効いてるのかも?。6年前のあの頃は、多い時で一日に30000歩位、歩いていたものだった。。。登りで立ち止まってしまった人達が、道を譲ってくれる中、ひたすら止まらずに歩き続けた。

ラストの4km程は、割とフラットなハイキングコースなのだが、不整地な上に、疲労が足にきてて、少しの勾配でも堪える。
でも可能な限り、走れる所では走った。この辺りは、昨年はへばって歩いてしまったので、ちょっとは進歩したかな?!

ゴール前の直線でスパート出来たってことは、少しは足が残っていたのだろうか?無事にラインまで、辿り着けた。後ろの人は『足がつった~!』と叫んでいたが。

ボロボロになった私を、桜の下で待っていてくれた皆さんと一緒に、缶チューハイで乾杯!。ひょっとしたらこのゴール後のお楽しみがなければ、完走出来なかったかも。。。

★総括
自分史上ベスト3に入る、過酷なレースだった。完走率は71%だったそうで、怪我も無く、生きて帰ってこれたのが、不思議なくらいだ。ここ最近では、フルを走った後でもならないような、筋肉痛に見舞われてしまったし。。。

とにかく持てる力を100%出し切らなくては、ゴール不可能だった。思えば、初フルで全力投球して以来、その後はフルでもハーフでも、自分のどこかに楽をしたいという気持ちがあって、90%位でしか走っていなかったのかもしれない。

周りを取りまく山々の自然が、そんな甘さに気づかせてくれて、喝を入れてくれたような新鮮な体験となった。

また普段ネット等に慣れていると、自分が世界の中心になったような全能感を持ってしまいがちだが、自然の中に身を置くことによってそういった勘違いをブチ壊し、無力な一人の人間だということを思い知らせてくれる。

タイムは4時間58分で、偶然、初フルとほぼ同じタイムだった。ちなみにトップは2時間30分ということで、タイム的にはロードとの相似性が伺われる。

総合順位は659/873位。女子で69/124位。しかし途中でリタイア&棄権した人が、250名もいたようだ。いくらメディアがトレイルランをブームにしようと取り上げても、ロードと山はまったく違うので、それなりの準備をして挑まなくてはならない。

自分的には明るい材料もあった。5時間近く動き続け、上りはほとんど歩いたものの、1km辺り8分30秒のペースで通し、このペースだったら、次の萩往還70km完踏の可能性が出て来た。

今回の女性優勝者は、やはり100kmマラソンの世界チャンピオンの櫻井教美選手だったらしい。サロマを制して日本代表となり、 IAU 100kmワールドカップ (オランダ)、 IAU トレイル・ワールド・ チャンピオン 50マイル (アメリカ)、ハセツネも圧倒的な強さで優勝したとのこと。山でも長く動き続ける為には、全身持久力を養成する必要がある。

となると、やはりウルトラを体験しておかなくては。。。頭の中に、♪Take it to the limit, one more time~♪ 限界までもう一度やってみよう、のリフレインが鳴り響く。

そして、プチッ!と魔のワンクリック、、、〆切りギリギリになって、6月の阿蘇カルデラスーパーマラソン100kmの部に申し込んでしまったのだった。ふらふら 
5月に70km、6月に100km。ついに耐久ランの世界に片足突っ込んでしまった、ROSIEの明日はどっちだ?!
これからいったいどこへ向かうのか、それは自分でも分からない。。。げっそり