ワイルドサイドを走れ(2007.4月/第9回モントレイル高水山トレイルラン15km)

敬愛するストリートロッカーの、ルー・リード(元ベルベット・アンダーグラウンド)の名曲の一つに「Walk on the Wild Side」がある。
先日の遠藤ミチロウLIVEでもプレイさせてもらったが、静寂の中に、ルーさんのポエトリーリーディングのような声が流れる、♪Hey Babe Take a Walk on the Wild Side♪ のリフレインが、一度聴いたら耳から離れない。


タイトルを直訳すれば「荒野を歩け」となるが、曲中に出てくる登場人物は、ゲイやトランスヴェスタイド(服装倒錯者)、ジャンキーなので、さしずめ「裏街道を歩き続けなよ」という、マイノリティな人達への応援歌とも受け取れる。
そういえば、元々HOUSEのパーティも、ゲイやドラァグクィーンが集う祝祭の場であったと聞いたことがある。

今までのレースで、5キロ→10キロ→ハーフとステップアップしてきて、先日ついにフル完走という目的は達成したが、この東京マラソンでのインパクトが非常に強烈だったので、次はどのレースに出ようかと考えあぐねていた。もっとハードで刺激的なレースは無いものだろうか?!と。 

人は何らかの刺激を受けると、更に強烈な刺激を求めてしまうらしい。例えば、最初はビールしか飲めなかったのが次第に、ワイン→ウィスキー→ズブロッカと、アルコール度数の強い酒にシフトしていくようにw

そこで見つけたのが、トレイルランニングだった。 その名の通り、山道(トレイル)を走る(ランニング)スポーツである。静かな自然を躍動感ある空間に瞬時に変えてしまう、究極にシンプルなアウトドアスポーツ。
 
小学生の頃に、徒競走ではビリだったが障害物競走では1位という、特殊な運動神経を持つ私にとって、フィールドアスレチック的な要素を持つトレイルは、単なるランニングよりも向いているのでは?と、実は前々から思っていて、フル完走の暁には、ぜひトライしようと企んでいたのだった!

・・・前置きが長くなってしまったが、先週の日曜日に東京は青梅市にて開かれた「第9回モントレイル青梅高水山トレイルラン」というレースに、遠路はるばる行ってきた。そう、まさに“ワイルドサイドを走る”ために!

同じ東京ではあるが、前回は都心のど真ん中、今回は一転して山の中のコースである。もちろん、街中ではない為、チームRのスタッフは来てくれる訳が無い。。。しかしフルの42キロではなく15キロなんで、一人でもなんとかなるだろう。。。

参加者3万人規模の東京マラソンは、東京ドームでのメジャーなコンサートのようだった。今回の会場は新宿から電車で1時間ちょいほどの青梅市の公園。
トレイルはマラソンよりもずっとマイナーなのに、こんな山のふもとに1200人ものランナーが集結していた~まさにシークレットレイヴの雰囲気! 屋台も出てて、食べ物ーすいとん汁やビールー飲み物、ランニンググッズなどを売っていた
 
レースは30キロの部と、15キロの部に分かれ、30キロのランナーが先にスタート。トップをきって走っていくのは、ボディビルでもやってそうな筋肉隆々の人だった。確かに周りをよく見ると、参加者の平均年齢が普通のマラソンに比べて若い気がする。山道を昇り降りするので、ある程度の筋力が無いと走れないのだろう。
15キロは400人ほどの参加者、いよいよレーススタート!

(起)最初は延々と登り道が続く。。。まだ10分しかたってないのに、このキツサと暑さはなんだ!。。。あとで聞いたが気温も25度まで上がっていたらしい。これで15キロも持つんだろうか><

(承)今度は一気に、舗装されたロードを駆け下りてゆくコースへと変わった。まるで下りのジェットコースターに乗ってるようだ! 膝にきてヤバイが、下り坂なので足は止まらない~ タスケテー!

(転)急勾配の林道を進むと、こんなところに民家があらわれた!=青梅の隠れ里「栗平地区」らしい。栗平地区には、織田信長による「武田征伐」により、名門甲斐武田氏は滅亡したが、その武田氏の末裔が住んでいるとのこと。菜の花が一面に広がっていた
急な勾配を、時にはロープをつたいながら上ってゆく。もはや走れずに黙々と皆で歩いてゆく姿は、山野行路のようだった^^;

(結)もと来た道を駆け下りて行く。木の根っこを飛び越えながら山道を下ってゆくのは、スリリングー!
背後で音がした。。。足をとられて転んだ人がいる!その時「大丈夫ですか!」と、私と同時に声をかけた女性ランナーがいた。

しばらく彼女と走りながら「道が悪いから気をつけましょうね」、「あと2キロくらいでゴールかな、がんばりましょう!」と話した。レースの最中に見ず知らずの人と、しゃべったのは初めてだった。
もはや競争相手というよりも、この同じハードなコースを耐えてきた者同士としての、連帯感みたいなものが生まれてきていた。きっとこの自然の中を走ったお陰で、タイムや順位にとらわれない、大らかな気持ちになっていたんだろう。。。

・・・で、歩いたり走ったりしながら、なんとか1時間50分程でゴール! 制限時間が3時間で、目標は2時間以内だったので上出来! 想像以上にきつかったが、変化に富んだエキサイティングなコースを楽しめた。

私の実家の裏には、愛宕山という標高250mほどの山がある。子供の頃には妹も含めた近所のガキグループと一緒に、どんぐり拾いに行ったり、けもの道を頂上まで昇ったりしていた。
また当時M小学校では道徳の時間にネタに困ると、決まって先生の指示でこの愛宕山の昇り降りをやらされていた気がするw。

妹が一度、山の中腹で飼い猫を見かけたことがあるらしい。こんなとこまで来てるのか!とビックリして声をかけると、普段は寄ってくるのに知らん顔して去っていった。。。いつものペットとしての顔とは違う一面を見たそうである。
山に登る時、飼い猫も野生を取り戻すのだろうか?

そして私は、青梅の山道を走る時、10才の頃の楽しかった山遊びの感覚が、蘇っていた気がする。

思いがけず「遠来賞」というのもいただいた。ラッキー!~でも今までよく地元のマラソン大会で、東京から来た人が遠来賞もらってるのをみて「わざわざ走るためによく来るなー」とあきれてたのだが。。。まさか自分がもらう羽目になるとは思わなかったー これで私も立派なランニング馬鹿の仲間入りw

しかし、トレイルは面白かった! もっと練習して来年は30キロに出るぞー!  登りはほとんど歩いてしまったが、ルーさんも『ワイルドサイドを歩け』と励ましてくれているようだし、、、やっぱり音楽の好みと同じく、マラソンの種目でもマイナーでマニアックな道を進んでしまいそうだ^^; 

夜は待望の打ち上げ! チームRの妹と一緒の時はホテルのレストランだったが、今度は100%自分の好みでキリンシティへ行ってビールをがぶ飲みする。メニューを見てたら、グラッパを発見! ビールをチェイサーにグラッパも飲む。

レース後はクエン酸やビタミンを補給しなくてはならないのに、まるでダメなディナー内容。チームRがいなくては、食事の自己管理も出来ないとは。。。明日はきっと筋肉痛と二日酔いで起きれないだろうな。。。えーい! 今日だけは無礼講だ!! 一抹の不安を感じながら、エンドレスな初トレイル打ち上げ@新宿KirinCityは続くのだった。