脳内ストロボ(2006年6月・宮崎県体5kmロードレース)


絶対に負けられない戦いがここにある」サッカー日本代表のキャッチコピーを、自分を励ますために繰り返し唱えてみる・・・ワールドカップ初戦オーストラリア戦のちょうど前日、私は宮崎市の木花陸上競技場に来ていた。県民体育大会に出場する為、延岡市陸上選手団の一員として・・・。
実は最近、都農マラソン3位、日向マラソン2位(ただし年代別)といったローカルな大会の5kmで上位入賞を果たした実績を買われて、県体5キロロードレースに出ることになったのだった。

しかし周りは陸上生活ひとすじみたいなベテランばかりに見えるし、高校の障害物競争以来、陸上とはまったく縁が無かった自分はひじょーに場違いな気がするのだがー。
だがこの日の為に、ここ3週間、早朝ランニングで7キロ走り、夜はスポーツジムに行き、まるでどこかの会社の陸上部員並みのハードトレーニングをこなしてきたのだ、あとはベストを尽くすのみ!って自分に言い聞かせる。

5キロレースは午前10時、20代~70代の男女選手がいっせいにスタート。さすが県体だけあって、ホントに70代が混じってるのか~?って思うくらい皆ペースが速い(汗)。
2キロあたりに差しかかった時に、先頭のランナーが戻ってきた。おっ、ここで折り返し?って思ったら「コースが違います!引き返してください!」との声。わけがわからずUターンしたら、後方グループだった自分たちがいつの間にか先頭になっている。ラッキー!、でもレースでこんなんありか? そのまま1キロほど走ったら、再び「方向が違います!」との声。
結局あっちこっちいったりしてる内に、ゴールにはたどり着けず、なんと!参加者全員がコースを間違えたということで、失格となってしまったのだった・・・。

「県体なのに誘導車がなかったよね」「係員がコースを知らんかったわ」。。。走り終えた人達は皆一斉にブーイング。そこで場内アナウンス「5キロコースの部は、午後2時より再レースとなりました」 ええ~~!うそだろ!!、また5キロ走りなおし?!。普通の大会ならとっとと帰ってるところだったが、なんせ今回は延岡市の代表、すでに参加記念の‘NOBEOKA’のロゴが入ったキャップと、手当?の4250円を受け取り済みだったので、走らない訳にはいかない・・・。

そして2度目のレースは気温も上がった午後2時スタート。なぜか横には、60才は越えてる?オバちゃんランナーがぴったりとついて走っている。この人はキャリアも長い有名人みたいで、「今年も出ちょっとけ~ がんばんねよ~!」って声が沿道からかかり、声援を受けるとなぜかターボチャージがかかったように、いきなりペースが速くなるのである。
彼女とデッドヒートを繰り返し、最後には沢山の声援を背に、ラストスパートをかけたこのオバちゃんに抜かれて、息もたえだえにゴールしたのだった。

とりあえず、ビリにならなくてよかった。しばらくしてレースの結果が貼り出される。タイムは自己ベストより5秒ほど遅くて、決してよくはなかったのに、自分の名前が1位になっててビックリ! しかも私の競技区分の欄には2位も3位も書かれていない。
ということはひょっとして、出場者は県内で自分ひとりなのかと思ったら、その通り・・・ひとりしか出ていなかったので、速かろうが遅かろうが、どう走っても1位・・・
だが陸上競技女子の部は、みごと延岡が団体優勝を果たしたので、少しは貢献出来たかも?とホッと胸をなでおろしたのだった。

レース後は、いつものように温泉に入り、帰る頃にはあたりはもう暗くなっていた。しかし車を運転してる途中に、みょ~な現象が起こっている事に気づく。なんか右目の外側に、フラッシュをたいたみたいに閃光がみえるのだ・・・なんだろ、これ?

気になったので翌日、さっそく眼科へ行ってみた。眼には異常は無かったが、低血圧の人がなりやすい症状らしい。そーいや最近走り過ぎで、血圧が下がり気味だったな。また一説によれば、脳の中の神経がショートして、こういう現象が起こるという。治療法は?と訊ねたら、ドクターは「ありません」の一言。
う~ん、なんてこった。健康のためにランニングしていたつもりが、いつの間にか脳内をデストロイ?! あまりのハードトレーニングと2度にわたる過酷なレースが、知らないうちに体にダメージを与えてたんだろうな(苦笑)。おまけに昨日もらった4250円は、この眼科受診で使い果たしてしまうし~。
・・・それからもずっと、夜運転してる最中とかにチカっと再発したりして、かなりうっとおしい。どーにかならんものか・・・

しかしこの前、真っ暗なクラブで踊ってる時に、なーんかピカピカしたのが見える。ストロボ?!って思ったら、例の脳内フラッシュだった。自分にしか見えないエフェクト効果でナチュラルハイーーーこれってイイかも! 合法でコストもかからず、半永久的に効果が持続する。
県体1位の栄冠と引き換えに手に入れた、この自家製脳内ストロボ、意外な使い方を発見して、今じゃけっこうお気に入り。